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化粧品が持つ質感と機能を支えるシリカ

化粧品が持つ質感と機能を支えるシリカ

化粧品は、日々の身だしなみを整えるうえで欠かせないアイテムです。近年では「メンズメイク」という言葉も一般的になり、性別を問わず多くの人が化粧品を使うようになってきました。こうした多様なニーズに応えるためには、色や香りといった感覚的な要素だけでなく、「素材設計」に基づいた機能性の追求が重要です。実は、その中でもシリカは、化粧品が持つ質感と機能の両方を支える素材として幅広く活用されています。

化粧品原料としてのシリカの役割

シリカは、無機微粒子の中でも屈折率が低く、粒径や形状を精密に制御しやすい素材です。この特徴を生かし、化粧品ではメイクの「仕上がり(見た目・使用感)」を調整する素材として広く利用されています。ファンデーション、フェイスパウダー、スキンケア製品など、多様な処方において微粒子設計の自由度が高く、目的に応じた質感づくりが可能です。

メイクの仕上がりを支えるシリカ ― 化粧品が持つ質感を支える素材としての役割

メイクの仕上がりを決める要素のひとつは「光の扱い方」です。肌の表面(皮表)は、凸部の皮丘と凹部の皮溝で構成される肌理(キメ)構造を持っています。光は凸部に当たりやすく、凹部や毛穴、小じわなどには届きにくいため、明暗の差が生じて影が強調されます。この影を目立たなくするには、①凹凸の輪郭をぼかすこと、②コントラストを小さくすることが効果的です。
シリカを配合したファンデーションやフェイスパウダーでは、微粒子が凹部に入り込み、光を多方向に散乱させることで、肌表面の輪郭のコントラストを小さくします。このソフトフォーカス効果によって、毛穴や小じわの境界が自然にぼけ、なめらかで均一な印象を与えます。
さらに、肌に触れたときの感触の改善にもシリカは関わっています。粒子表面がなめらかな球状シリカは、塗布時に肌の上で転がるように広がり、粉体同士の摩擦を抑えて心地よい「なめらかさ」を生み出します。この特性により、パウダーやファンデーションの伸びが良くなり、ムラのない均一な塗布がしやすくなります。

化粧品におけるシリカの機能的価値

化粧品に用いられるシリカは、見た目の仕上がりを調整するだけでなく、処方全体の安全性や安定性の確保にも役立ちます。
まず、安全性の観点では、化粧品用シリカは化学的に安定で皮膚への刺激が少なく、国際的にも安全性が確認されている素材です※注1・2。さらに、シリカは紫外線散乱剤(酸化チタンや酸化亜鉛)の光触媒活性を抑える被膜材としても利用されます。酸化チタンや酸化亜鉛は紫外線を遮断する効果がありますが、光照射により活性酸素が発生しやすいという課題があります。シリカで表面をコーティングすることで、この光触媒活性を抑制し、製品の変色や内容成分の劣化を防ぐことができます。
また、機能面では、粒子表面を改質して親水性や疎水性を調整することで、さまざまな処方に対応できます。油性成分の多い製品では疎水性タイプが分散性を高め、水性成分の多い製品では親水性タイプがなじみを良くします。さらに、多孔質構造を持つシリカでは、香料や有効成分をゆっくり放出する徐放性機能を持たせることができ、肌上での効果を持続させます。
環境面では、シリカは生分解しない無機物でありながら、マイクロプラスチック代替素材として注目されています。水中でも安定して分散しやすく、環境負荷を抑えた素材設計が可能な点は、サステナブルな化粧品開発において重要な要素です。
※注1:シリカには「結晶(非合成)」と「非結晶(合成)」の2種類が存在し、「非結晶(合成)」が化粧品に使用可能。(「結晶(非合成)」は発がん性物質を含むため、使用不可)
※注2:欧州でナノ材料の使用が規制されていることから、日本国内でもナノ材料の使用が忌避されている。(1~100nmのスケールの1つ以上の外形寸法または内部構造を持つ、不溶性または生体抵抗性で意図的に製造された材料が該当)

まとめ

シリカは、化粧品が持つ質感を支えるだけでなく、製品の安全性・品質安定性・環境適合性にも関わる多機能な素材です。粒径や構造、表面特性を調整することで、ソフトフォーカス効果・皮脂吸着・分散性・徐放性といった多様な性能を発揮します。日常的に使う化粧品の快適さや自然な仕上がりの裏には、こうしたシリカ微粒子の設計技術が生かされています。日々のメイクアップ製品を手に取るとき、素材の働きに少し目を向けてみることで、化粧品づくりの奥深さを感じられるかもしれません。

 

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