機能性

消費者の健康志向の高まりとともに、食品に求められる価値は多様化しています。
市場で競争力を高め、消費者のニーズに応えるためには、食品の「機能性」を適切に伝えることが不可欠です。
中でも、「機能性表示食品」は製品に新たな付加価値をもたらす有力な選択肢となり得ます。
「機能性表示食品」とは、国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示することができる制度です。
混同しやすい制度として、「特定保健用食品(トクホ)」や「栄養機能食品」があります。
これらは、目的や要件、そして事業者が負う責任において大きな違いがあります。
「特定保健用食品(トクホ)」は、からだの生理学的機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)をする食品です。
届出制の「機能性表示食品」とは異なり、食品ごとに食品の有効性や安全性について国の審査を受け、許可を得なければなりません。
「栄養機能食品」は、保健機能食品のひとつであり、特定の栄養成分の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するものをいいます。「機能性表示食品」や「特定保健用食品(トクホ)」とは異なり、国が定めた基準を満たせば、消費者庁への届出なしにその栄養成分の機能を表示することができます。
それぞれの制度の違いは、以下の表をご参考ください。

機能性表示食品制度は2026年で施行11年目を迎えました。
これまでに届出件数は累計9,000件*を超え、右肩上がりで推移してきましたが、2025年度には一転して過去最大の減少を記録しました。(*2026年5月時点)

2025年4月から、「システマティック・レビュー(SR)」のPRISMA 2020への準拠が必須となった影響が大きいと考えられます。
新制度では資料作成・更新の負担が増大したことで、届出を見送る、あるいは先送りする事業者が増えました。
また、紅麹を機能性関与成分とした製品の健康被害事例、DHA・EPAを機能性関与成分とする製品への措置命令、長らく安全性評価の根拠となっていた国立健康・栄養研究所のデータベースの参照ができなくなったなど、複合的な要因により、届出数は大幅に減少しました。
機能性表示食品の届出には、様式第一号~第七号までの文書を揃え、専用サイトにて添付・送信する必要があります。
各文書には、それぞれ以下の役割があります。

上記の様式フォーマットは、消費者庁WEBサイトからダウンロードできます。
参考:【食品関連事業者向け】機能性表示食品の届出について | 消費者庁
このうち、機能性の科学的根拠を示す「別紙様式(Ⅴ)」の作成から届出までの流れは以下の3パターンあり、一般的には届出者自身で一貫して実施する、あるいは第三者機関が一部関与することが多いです。
FUSOは、クエン酸の原料メーカーとして自社でSRを作成しており、原料と共に資料提供を行っています。

届出スケジュールを組む際は、「何カ月で終わる」と断定せず、次のように「評価期間」と「実務上の変動要因」を分けて見積もるのが安全です。
消費者庁による評価期間は、対象(特に新規の機能性関与成分等)によって従来より長期化(60日→120日)する動きがあり、受理までの見通しが立てにくくなっています。
そのため、製造開始や販促開始の予定日は、単に「評価期間」だけでなく「社内準備・照会対応」も含めた余裕を持たせる必要があります。
届出が長引く主因は、準備や評価期間そのものというより、「差戻し」であることが少なくありません。
以下は差戻しの代表例です。
■表示しようとする機能性(ヘルスクレーム)と根拠資料の整合が取れない(対象者、摂取量、期間、アウトカムのズレ)
■「別紙様式(V)」における情報の分離など、作成責任の整理が不十分
■パッケージデザインの不適合(マニュアルで指定されているレイアウトに準拠していない) など
このため、製品化までのスケジュール策定では「提出日」だけでなく、変動要因を考慮し余裕を持ったスケジュールで進めるのがおすすめです。
FUSOでは、機能性関与成分「クエン酸」の「疲労感の軽減」について、科学的根拠となる論文等の資料をまとめた報告書「システマティック・レビュー(SR)」の作成・提供を行っております。
一般的に、SRの作成は届出会社自身や第三者機関が行うケースが多いですが、FUSOは原料メーカーとして自らSRを作成し、提供を行っています。
参考:食品・飲料開発者向け:クエン酸による「疲労感軽減」の機能性表示戦略



PRISMA 2020の要点は、SRの手順と判断の根拠を開示し、再現できる形で示す方向へ強化された点にあります。特に重要なのが次の3つです。
■透明性:どの情報を採用し、どの情報を除外したのか。その判断基準とプロセスを明確にする
■網羅性:都合の良い論文だけを拾ったように見えないよう、検索条件・抽出の範囲を示す
■再現性:第三者が同じ条件で追試(同じ検索・同じ選別)できるレベルで、検索式や選別基準を記載する
この結果、SRは単なる「参考文献のまとめ」ではなく、“手順を説明する文書”としての完成度が求められるようになっています。
近年の様式・運用の変更により、最新の別紙様式(V)(SRに該当する書類)フォーマットでは、最終製品情報(製品名など)とSRの内容(ヘルスクレームなど)を切り離して扱うことがより明確になっています。
これは、SR作成者(原料メーカー等)と、届出者(最終製品メーカー)の作成責任・説明責任の境界を明確化するための考え方です。
届出者側で注意すべき点は、主に次の通りです。
■SR本文(別紙様式(V))は、原則として“根拠文書”であり、最終製品の都合で内容を調整しない
必要がある場合は、修正の根拠・手続き・責任分界を明確にする
■最終製品の条件(摂取目安量、摂取方法、表示案など)は、SRの結論と整合する形で設計する
先に表示案を決め切ってしまうと、後からSRと噛み合わず手戻りが発生しやすい
■原料メーカーSRを活用する場合は、「SRでカバーしている条件」と「最終製品側で決める条件」を早い段階で切り分ける
機能性表示食品の届出は、複雑かつ書類作成に必要なコストが年々増しており、これまで以上に緻密さや科学的根拠の質が求められるフェーズに入りました。
FUSOでは、高品質なクエン酸原料の供給はもちろん、PRISMA 2020に準拠したSRの提供まで一貫で対応いたします。
「制度改正への対応にリソースが足りない」とお考えの企画・開発担当者の皆様のお力になれればと存じます。
「クエン酸」の機能性表示に関するご相談は、FUSOライフサイエンス事業部までぜひお問い合わせください。
*本記事は2026年6月時点の情報を元に執筆いたしました。