機能性

クエン酸はレモンや梅干しなどの食品に3〜7%程度含まれる有機酸であり、古くからその疲労回復効果が経験的に知られてきました。
現在、クエン酸*を機能性関与成分とする機能性表示食品の届出は120件を超えていますが、それらが表示しようとする機能性は「疲労感の軽減」に特化しています。
(*ヒドロキシクエン酸や複数関与成分を含む場合を除く。)
安全性についても、クエン酸は食品衛生法で定められた指定添加物であり、「ADI(1日摂取許容量)を特定しない」とされています。
クエン酸は喫食実績が豊富なだけでなく、機能性表示食品における1日摂取目安量の範囲(約2,700mg~)では有害事象の報告も見られないことから、届出資料の範囲では健康被害が起こる可能性は極めて低いと評価されています。
参考:
1. CLP report 『Proposal for Harmonised Classification and Labelling Based on Regulation (EC) No1272/2008 (CLP regulation), Annex Ⅵ,Part 2 International Chemical Identification ; Citric acid 30 Oct 2018』
2. OECD SIDS Initial Assessment Report for 11th SIAM
近年の健康意識の変容とともに、クエン酸は単なる食品添加物としての役割を超え、生体内のエネルギー代謝をサポートする機能性関与成分としての活用が改めて注目されています。

クエン酸が疲労感軽減に寄与するメカニズムは、細胞内でのエネルギー産生において中心的な役割を果たす「クエン酸回路(TCA回路)」と深く関わっています。
クエン酸が効率的なエネルギー産生を支えることで、日常生活や運動後の身体的な疲労感を軽減するというこのメカニズムは、いくつかのヒト臨床試験によって裏付けられ始めています。
では、個人の主観に依存しやすい疲労感をどのように測定・評価するのでしょうか。
かつては「乳酸の蓄積量」が疲労の指標と考えられていましたが、現在はその説は否定されています。
疲労感の抑制を科学的根拠をもって評価するには、客観性の高い測定手法を用いる必要があります。
そこで現在の研究において主流となっているのが、VAS(Visual Analogue Scale)と呼ばれる評価手法です。

これは、直線の一端を「疲れを全く感じない最良の感覚」、他端を「疲れきった感覚」と定義し、対象者が現在の状態を直線上の位置で示すことで、疲労感を定量化する検査です。
日本疲労学会の「抗疲労臨床評価ガイドライン」においても、このVAS検査のテンプレートが公開されており、試験の実施方法に関する留意点が詳細に示されています。
こうして標準的な評価指標が普及したことにより、近年、疲労感の軽減を科学的に示すための土台は整備されつつあります。
参考: 一般社団法人 日本疲労学会
前述の通り、身近な素材でありながら、疲労感を軽減する働きがあると報告されているクエン酸を「機能性表示食品」として製品化するには、そのエビデンスとなる膨大な情報や論文を科学的に整理・評価しなければなりません。
消費者庁への届出書類には、製造やパッケージに関する情報も必要ですが、機能の科学的根拠を示すための核心となるプロセスが、「システマティック・レビュー(SR)」です。
FUSOでは、自社で提供しているクエン酸製品について、機能性表示の科学的根拠となる論文等の資料をまとめた報告書「システマティック・レビュー(SR)」の作成・提供を行っております。
クエン酸を機能性関与成分とする届出においては以下の3パターンがあり、一般的に、SRの作成は届出者自身や第三者機関が行うケースが多いですが、FUSOは原料メーカーとしてSRを作成し、原料と共に提供を行っています。

クエン酸は、ゼリーやグミ等の製菓、飲料(粉末飲料を含む)、サプリメント製品などに「酸味料」、「pH調整剤」として利用されることが多いです。
FUSOでは、粉体から液体品、コーティング品まで、多様なラインナップで提供しています。
酸味を活かした商品設計から、酸味を抑える工夫まで、摂取目安量・摂取方法がSRの条件と整合する範囲で、ラインナップの豊富さを活かしたご提案が可能です。

近年の様式・運用の変更により、最新の別紙様式(V)(SRに該当する書類)フォーマットでは、最終製品情報(製品名など)とSRの内容(ヘルスクレームなど)を切り離して扱うことがより明確になっています。
これは、SR作成者(原料メーカー等)と、届出者(最終製品メーカー)の作成責任・説明責任の境界を明確化するための考え方です。
届出者側で注意すべき点は、主に次の通りです。
■SR本文(別紙様式(V))は、原則として“根拠文書”であり、最終製品の都合で内容を調整しない
必要がある場合は、修正の根拠・手続き・責任分界を明確にする
■最終製品の条件(摂取目安量、摂取方法、表示案など)は、SRの結論と整合する形で設計する
先に表示案を決め切ってしまうと、後からSRと噛み合わず手戻りが発生しやすい
■原料メーカーSRを活用する場合は、「SRでカバーしている条件」と「最終製品側で決める条件」を早い段階で切り分ける
機能性表示食品の届出においては、システマティック・レビュー(SR)の質向上を目的として、2025年4月以降、最新のPRISMA 2020ガイドラインへの準拠が求められています。

機能性表示食品の科学的根拠(エビデンス)は、大きく分けて次のどちらかで準備します。
既存の臨床研究(ヒト試験論文)を、一定の手順に基づいて網羅的に収集・評価し、「機能性が示唆されるか」を整理します。
【向いているケース】既に関連論文が一定数あり、表示したい機能性と条件(対象者・摂取量・期間など)を合わせられる場合
【つまずきやすい点】論文の条件差、アウトカム設定、PRISMA 2020準拠など、作成ルールへの対応が重いこと
【向いているケース】論文が少ない新規性の高い素材・設計、あるいはSRで条件が合いにくい場合
【つまずきやすい点】試験設計・期間・コスト・被験者条件など、実施負荷が高いこと
実務上、まずは、「SRで成立するか」を検討し、難しければ臨床試験ルートも含めて再設計する、という順で判断されることが多いです。
また、FUSOのように機能性原料メーカー側でSRを整備しているケースもあります。
PRISMA 2020では、従来の2009年版と比較してチェック項目が細分化され、「情報の透明性」と「評価の厳格さ」が大幅に強化されています。
これまで曖昧な記載で見逃されていた箇所が許容されなくなり、求められる要素がより細分化されました。
システマティック・レビューに該当する別紙様式(V)において特に論点になりやすいのは、例えば以下のような項目です。
■アウトカム(評価項目)の定義と選別:
どの指標を、どの時点で、どのように評価するか。複数アウトカムがある場合の扱いも含めて明確化が必要
■欠測データ・不明情報の扱い:
論文中で不足している情報に対し、推定や補完を行った場合は、その方法と根拠を記載
■統合(メタアナリシス等)の手順:
研究の採否基準、データ変換、モデル、使用ソフト等を含めて「どう統合したか」を説明
■異質性・バイアスの評価:
研究間の違い(被験者・摂取量・期間・評価指標など)が結果に与える影響の考察、報告バイアス等の評価方法を明記
機能性表示食品の届出は、複雑かつ書類作成に必要なコストが年々増しており、これまで以上に緻密さや科学的根拠の質が求められるフェーズに入りました。
FUSOでは、高品質なクエン酸原料の供給はもちろん、PRISMA 2020に準拠したSRの提供まで一貫で対応いたします。
「制度改正への対応にリソースが足りない」とお考えの企画・開発担当者の皆様のお力になれればと存じます。
クエン酸の機能性表示に関するご相談は、FUSOライフサイエンス事業部までぜひお問い合わせください。
*本記事は2026年6月時点の情報を元に執筆いたしました。