味・風味
色調
歩留

食品を加工するうえで、加熱・冷凍解凍・保管などの工程では、食品中の水分が失われやすくなります。
保水性が低下すると、製品の品質やコストに関わるさまざまな課題につながります。ここでは、食品加工の現場で起こりやすい代表的な課題を紹介します。
加熱による肉類の硬さやパサつきは、主に筋原線維タンパク質とコラーゲンの変化によって生じるといわれています。
加熱が進むと、筋原線維タンパク質の変性・凝固によって肉は硬くなり、さらに結合組織の主成分であるコラーゲンが収縮することで硬化が進みます。
一方で、加熱条件によってはコラーゲンのゼラチン化による軟化も起こるため、最終的な食感はこれらの変化の兼ね合いで決まります。
こうした過程で水分が肉汁として流出すると、しっとり感が失われ、硬くパサついた食感となってしまいます。
冷蔵・解凍時のドリップ流出は、歩留まり損失だけでなく旨味・色素・可溶性タンパク質の流出を伴い、風味と色調を損ないます。
ボイルやスチームで生じる灰汁は肉に含まれるタンパク質や脂質が主因です。
魚介類のフライ・グリル・ボイルなどの加熱工程では、身に含まれるタンパク質が熱によって変性・収縮し、水分が外へ押し出されやすくなります。魚介類は組織が比較的繊細なため、加熱ムラや急激な温度上昇によって身が偏って収縮し、反りや曲がり、サイズのばらつきが生じることがあります。形状不良が起こると、見た目の品質低下だけでなく、衣付きや盛り付け、包装時の規格適合にも影響します。
そのため、保水性を高めて加熱時の収縮を抑えることは、食感改良だけでなく、製品の外観品質や歩留まりの安定化にもつながります。
高温・急速加熱はタンパク質の収縮を強め、離水を促進します。段階的な加熱や中心温度の管理、スチームの活用に加えて、食材や工程に適した品質改良剤を使用することで、加熱に伴う離水や食感の変化を抑えられます。
魚介類や肉類を冷凍保存・解凍する過程では、氷結晶の形成や温度変化によって細胞組織がダメージを受け、筋繊維中のタンパク質が変性することがあります。特に緩慢凍結によって氷結晶が大きくなると、細胞膜や筋繊維が破壊されやすく、解凍時に水分が外へ流出しやすくなります。
さらに、タンパク質が変性すると、筋繊維が一度流出した水分を再吸収する力が弱まり、ドリップの発生量が増加します。
こうしたリスクを抑えるには、急速凍結やチルド解凍などの適切な温度管理に加え、食材や工程に適した品質改良剤を活用し、解凍時の離水を抑えることが有効です。

*参考文献を基に当社作成
肉の保水性は、筋原線維タンパク質の等電点に相当するpH5付近で最低値を示し、それより酸性側でもアルカリ性側でも増大します。
pHを酸性もしくはアルカリ側に調整することで食品の保水性を増大させることができますが、酸性側では風味への影響が大きいため、一般的にはアルカリ側に調整されます。
品質改良剤の使用方法としては、以下の方法が挙げられます。
品質改良剤や調味料等を含むピックル液に食材を浸漬させる方法です。物理的な刺激が少ないため、食材への物理的な負荷が小さいまま処理液を比較的均一に浸透させやすく、水産加工品に有効です。
内部に羽根や仕切りを備えたタンブラーに肉とピックル液を入れ、ゆっくりと回転させることで物理的な衝撃を与えて筋繊維組織をゆるめ、ピックル液を均一に浸透させる方法です。
多数の細い針がついた機械(インジェクター)を使ってピックル液を直接注入し、肉全体に均一に行き渡らせる方法です。
食材に合わせて処理を組み合わせて工程を最適化することで、品質改良剤の効果を高めることが期待できます。
FUSOの製品は、さまざまな食品の品質改良に貢献しています。

使用製剤:クラフトワークSG
条件:エビを解凍後3%溶液に浸漬し、スチーム加熱
効果:エビの自然な食感を残しつつ、歩留まりを向上させます。加熱後の色抜け防止にも寄与します。

使用製剤:クラフトワークST
条件:イカリングを解凍後3%溶液に浸漬し、水洗後スチーム加熱
効果:弾力性のある食感を付与し、歩留まりを向上させます。

使用製剤:クラフトワークST
条件:ホタテを解凍後3%溶液に浸漬し、水洗後スチーム加熱
効果:弾力性のある食感を付与し、歩留まりを向上させます。

使用製剤:クラフトワークRE-23
条件:鶏むね肉を真空タンブラーにて漬け込みし、スチーム加熱
効果:歩留まりが向上することでしっとりとジューシーな食感が得られます。

使用製剤:クラフトワークSE
条件:鮭を解凍後3%溶液に浸漬し、水洗後スチーム加熱
効果:歩留まりが向上することでしっとりとした食感が得られます。また、灰汁溶出量を低減し、色調を改善します。
クラフトワークシリーズは、無リンタイプの品質改良剤です。
主にエビやタコ等の水産加工品向けの製剤です。他の番手と比較して保水効果が穏やかなため、自然な食感や色調を保ちつつ歩留まりを向上させます。
主に水産・畜肉加工品向けの製剤です。食品由来の風味を損なうことなく高い保水性を付与します。
魚肉に対しては適度なソフト感、イカ・エビに対しては弾力性のある食感が得られます。浸漬での使用が可能です。
主に畜肉加工品向けの製剤です。畜肉を柔らかくし、食感を改良します。リン酸塩よりも歩留まりが向上します。
主に水産・畜肉加工品向けの製剤で、高い保水性の付与に特化しています。
魚肉に対しては適度なソフト感、イカ・エビに対しては弾力性のある食感が得られます。
| 製品 | 主な対象 | 保水性 | 食感・風味 | 想定する課題 |
|---|---|---|---|---|
| SG | エビ、タコなど | 穏やか | 自然な食感や色調を重視 | 食感を変えすぎず歩留まりを改善したい |
| SE | 水産・畜肉 | 高い | 食品由来の風味とのバランスを重視 | 歩留まりと風味を両立したい |
| ST | 水産・畜肉 | 高い | 対象食品ごとにソフト感や弾力を付与 | 歩留まりを優先したい |
| RE-23 | 畜肉 | 高い | 軟らかさ、しっとり感を重視 | 鶏肉などの食感と歩留まりを改善したい |
参考文献:沖谷明紘、「シリーズ<食品の科学>肉の科学」、朝倉書店、1996
原料の種類や加工工程によって、適した製剤や処理条件は異なります。FUSOでは、魚介類・畜肉の課題に合わせた製品選定や試作条件をご提案しています。ドリップ、加熱収縮、食感、歩留まりでお困りの場合は、お気軽にご相談ください。