Sustainability

サステナビリティの実現に向けて

中期経営計画“FUSO VISION 2025”

2025年度(2026年3月期)までを、『更なる飛躍のための足場固めと新規事業創出・第三の柱構築への挑戦のための5年間』と位置づけ、中期経営計画 “FUSO VISION 2025″(計画年度:2021年~2025年5ヶ年)を策定し2021年5月に公表いたしました。事業環境の変化への対応と新たな価値の創造に挑戦し続けることで、中期経営計画のサブテーマである『社会課題の解決に貢献するFUSOであるために』を実現してまいります。

<上方修正した業績目標>

当社を取り巻く事業環境がポジティブに変化するなかで、業績が当初計画を大きく上回ったため、売上高、営業利益、当社が重要指標としている償却前営業利益の最終年度の経営目標を上方修正しました。経営目標以外の経営方針や施策は当初計画の内容から変更ありません。

マテリアリティの特定

当社は、2021年5月に、中期経営計画(2022年度3月期から2026年度3月期までの5ヶ年)を発表するにあたり、マテリアリティを特定しています。社会価値・経済価値、どちらも創造することができる企業であるために、どのような課題に取り組むべきかを議論、検討を重ねました。

<目指すべき企業像とマテリアリティ(重点課題)>

当社の事業規模は決して大きくありませんが、グローバルかつニッチな市場におけるトップシェアを獲得することにより、収益力をあげています。食と半導体を中心とした主要製品群を通じて、当社は人々のくらしの豊かさと持続的な未来に貢献できると考えております。また現状に満足することなく先進的な技術開発を推進し、Innovationへの挑戦と第三の柱により企業として更なる発展を目指していきます。

■マテリアリティの特定プロセス

特定プロセスにおいては、各所管部署で「当社の事業にとっての重要性」と「社会にとっての重要性」をマトリックスにして検討し、取締役会で議論のうえ決定しました。

 

<「社会にとっての重要性」と「当社の事業にとっての重要性」マトリックス>

当社の目指すべき企業像を検討するなかで、まず、社会にとって重要な事業領域分野において、さらに強い事業体制づくりが必要であると考えました。また「Innovationへの挑戦」への取り組みを進めることで当社の製品群の技術力と競争力をさらに強化していきます。そして、第3の柱の構築についても、既存事業に加えて、将来に向けた成長性が期待できる事業分野が不可欠と考え、マテリアリティの1つとして選択しました。

<マテリアリティに対する主要な戦略>

マテリアリティに向けたガバナンスとして、3つの主要戦略の中で実現を目指していきます。また、当社の事業活動そのものは、社会課題解決や産業発展とつながっています。事業戦略のベクトルはSDGsへの対応を意識したものとなっており、各事業部は3つの主要戦略に合わせた取り組みをおこなっています。

拡大する需要の取り込み、着実な対応 持続的成長を支える経営基盤の変化 新規事業・分野への投資・挑戦
  • ●鹿島事業所への大型設備投資で需要増加へ対応
  • ●東西に生産拠点を設置し、レジリエンスを向上
  • ●国際事業部の新設と海外事業強化
  • ●各海外拠点による中国・東南アジア市場への対応
  • ●原単位の削減
  • ●電子材料分野向け高機能材料の開発
  • ●果実酸コンビナート構想による大阪工場の機能集約と強化
  • ●次世代リーダーの育成
  • ●働き方改革の実行
  • ●フードテックに関する提供価値の創出
  • ●成長性ある第三の柱構築

マテリアリティと社会的課題への各事業部の取り組み

【ライフサイエンス事業部

生産供給体制の拡充、新製品開発と早期戦列化、並びに市場環境の変動に伴う課題への適切な対応によって、さらなる売上および利益の拡大に取り組んでまいります。

大阪工場で新たな製造設備が立ち上がっています。各種有機酸を油脂でコートすることにより新しい機能を付与し、新しい用途への展開が期待される「コート果実酸」の製造設備が稼働しています。この「コート果実酸」の品質面においては、国際食品安全マネジメントシステム「FSSC22000」(※)の認証を取得しました。既に数社での採用が決定し、日本国内のみならず海外への展開も進めています。また果実酸の配合・小分け品製造などの主力工場である十三工場との統合を進めて、大阪工場での製造拠点の集約による製造の効率化を目的としています。2022年12月に十三工場から業務を移管する新設備が完工し、早期に立ち上げるべく作業を急ピッチで進めています。
(※)FSSC22000パリに本部がある「Global Food Safety Initiative(GFSI)」によって定められた食品安全に関する国際規格

■今後の成長戦略

人口増加による食糧不足は依然として懸念されています。SDGsの目標として、世界全体の一人当たりの食料廃棄を半減させ、生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させることが掲げられています。また、栄養不良も問題であり、健康における食の重要性はますます高まっていくと考えています。
ライフサイエンス事業部が展開する有機酸をはじめとした製品群は、そういった課題の解決に貢献できるものと考えています。既存製品の利用はもとより、お客様をはじめとする世の中のニーズが新たな付加価値を創出する契機と捉え、2022年には新しいコンセプトの製品を上市致しました。一例が、新製品「ウェルドゥS」です。雑豆粉が小麦粉に取って代わるには、豆臭さ、機能性・加工性が劣ることが問題でしたが、新製品「ウェルドゥS」は豆臭と食感を改善しながら小麦粉のような製麺性を実現しました。雑豆粉の用途拡大、ひいては原材料の多様化をはじめとする食糧問題解決へのアプローチが期待できます。


■ライフサイエンス事業部のサステナブルな社会を支える取り組み

●健康を支える:食を通じた健康へのアプローチ
昨今の健康意識への高まりから、「酸っぱい」は、健康に良さそうなイメージが湧く注目のワードとなっているようで、「酸っぱい」を謳った多くの商品が発売されており有機酸が使用されています。酸味を付与することはもとより、摂取して体に取り込まれることで、リンゴ酸やクエン酸は疲労回復や代謝の改善に、アスコルビン酸(ビタミンC)はその抗酸化作用により体の抵抗力を高めるなどの目的でこれらの有機酸をご利用いただいているところです。そして、これらの有機酸にコーティングを施すなどの手を加えることで、溶出のタイミングをコントロールして有機酸を腸に届ける、あるいは酸のダメージを受けやすい成分への影響を軽減するといった、新たな機能を有機酸へ付与することに取り組んでおり、健康的な食生活の部分で今以上に役立ちたいと考えています。

●食品ロスの低減を支える
当社はリンゴ酸をはじめとした各種有機酸を利用して、食品業界にとって避けては通れない食品ロスの問題に貢献する取り組みを続けています。種々の有機酸を組み合わせることで、微生物による加工食品の腐敗・変敗を抑えることはもちろん、酸化防止機能を有する有機酸の利用により、果物や野菜の褐変などの変質を抑えることでもご活用いただいております。

●バイオスティミュラントにより一次産業を支える
バイオスティミュラントは、植物に対する非生物的ストレスを制御することにより気候や土壌のコンディションに起因する植物のダメージを軽減し、ストレスによる収量減少を軽減しながら健全な植物を提供する新しい技術です。当社では、数年前から「ある天然物由来の活性成分」に着目し、その活性成分がHSP(ヒートショックプロテイン)発現に作用することを活かした商品開発を行い、その効果検証を進めているところです。そうしたなかで、イネが本来もつ高温ストレス耐性を向上させ、登熟期の高温によるダメージを軽減できることが確認され、良質なコメ作りへの利用が始まっています。引き続き、農作物の安定した生育と収穫を通じて食料不足の問題解決に貢献していきたいと考えています。

【電子材料事業部】

生産供給体制の拡充、新製品開発と早期戦列化、並びに市場環境の変動に伴う課題への適切な対応によって、さらなる売上および利益の拡大に取り組んでまいります。

●世界の半導体デバイス市場予測

世界の半導体市場はこれまでのPC・スマホ・産業需要の増加とクラウドなどの情報インフラの技術開発と拡大により、需要量の増加と技術開発の双方が進展しています。車の自動運転化、IoT、AI、5G通信など、私たちがめざすサステナブルな未来は、さまざまなエレクトロニクス産業が発展することで実現され、より豊かに便利になると予想されます。更に、脱炭素による電気自動車やAIなどの需要も加わり、世界の半導体市場は重要な産業基盤として今後も重要かつ成長性が見込める市場となっています。

■社会インフラを支える取り組み

半導体は、身の回りの電気製品や社会インフラを支える各種の製品群に半導体は利用されています。世界情勢やコロナ禍により、半導体の不足により「製品が生産できない」「ライフラインの維持に必要は製品が調達できない」などの問題がクローズアップされ、半導体産業の重要性が改めて認識されました。

●未来を支える
今や半導体は社会に不可欠なものとなっていますが、これからの未来を左右するエネルギーや環境問題、情報技術においても半導体は重要な役割を果たしています。当社の電子材料事業は半導体産業を支える一企業として責任を果たしていきます。

CMPスラリー市場規模予測

●高度な半導体産業を支えるFUSOの技術

当社の金メダル製品のひとつ『超高純度コロイダルシリカ』は、半導体の製造過程で使用される研磨剤の主原料として使用されています。より高度になっていく半導体分野において、ナノレベルで粒子の大きさ、形状をコントロールできる、独自の技術を持っていることは当社の強みです。
半導体は、より微細化、多積層・高集積化していきます。その半導体の製造工程において、特に高い技術が必要とされるCMP(化学機械研磨)工程では、半導体の配線を傷つけることなく、表面を平坦にする必要があります。そこで欠かせない素材として、当社の『超高純度コロイダルシリカ』は、世界各国で多くのお客様に使用いただいています。

■需要増加を支える生産体制および研究開発体制の整備

サステナブルな未来の実現に向けて、さらなる技術の向上はもちろんのこと、製品を欠かすことなく提供できる体制を整えることが、当社の役割であると考えています。そのため、研究開発体制の整備需要増加への設備投資とレジリエンスを備えた生産開発体制の構築を進めています。2022年7月に新たな研究開発拠点として神戸研究所を設置し、半導体技術の応用分野にも研究を広げようとしています。
また、生産面では需要の拡大に応えるだけでなく、現在の生産を担う京都事業所に加えた災害に強い2拠点体制として、2023年4月から鹿島事業所での超高純度コロイダルシリカの生産ラインが稼働しました。またその先においても、2024年に京都事業所、2025年に鹿島事業所の追加の設備増強を予定しており、2025年の完成時には、2022年度比で約1.5倍の生産能力となる見込みです。

生産・開発拠点体制

【国際事業部】

2021年4月に海外子会社間の連携ならびに海外子会社のガバナンスの強化などを目的に、国際事業部を新設しました。アジア地域や北米の需要への対応していくことにより、中期経営計画最終年度の海外売上高比率の目標値を50%としています。

■地域別の状況

ライフサイエンス事業、電子材料事業ともに、海外での売上を大きく伸長させることは当社の成長には欠かすことのできない要素です。
2022年度には、青島扶桑精製加工有限公司に上海食品調味料開発センターを開設しました。青島にあるテストキッチンと併せて活用することにより、中国国内での食品添加物製剤ならびに新規食品開発を加速させています。
タイのFUSO(THAILAND)CO., LTDでは、周辺国での営業活動を強化し、タイ国内のみならず周辺国のローカル食品への食品添加物製剤の採用増加と新規開発を進めています。
米国PMP Fermentation Products, Inc.では、グルコン酸ナトリウムの販売において既存先の販売強化を図るとともに新規案件の獲得によりシェアを伸ばしていきます。
また電子材料事業の主力製品である超高純度コロイダルシリカのアジア地域および北米への輸出も増加しており、海外売上高比率の向上に寄与しています。

地域別売上高の推移

第三の柱構築に向けた投資戦略

ライフサイエンス事業や電子材料および機能性化学品事業に続く、第三の柱となる新規事業を確立することは、未来の当社の成長には必要と考えています。社会的な課題を解消する素材・化学技術を追求し、投資・スケールアップなどを通して当社のソリューションを提供しながら第三の柱構築に取り組んでいます。

ファンド等を含む投資イメージ